2018年9月12日水曜日

有機化学の基本



有機化学は炭素化合物の化学。
地球上には100以上の元素が存在しますが、炭素の存在量は14番目。あまり豊富な元素ではありません。しかし、この炭素は生物にとって最も重要な元素のひとつです。私たちの体の中では酸素、水素に次いで3番目に多量にある元素です。

炭素の特徴は、
1. 炭素は4本の共有結合を形成しやすい。
2. 炭素は通常は電気的に中性ですが、結合の状況によっては陽イオン(カチオン)にも陰イオン(アニオン)にもなる。
3.炭素―炭素結合を作りやすい。
などです。

その結果、非常に多くの炭素化合物をつくることができます。地球上には天然物と人工物を合わせると3000万種を超えるといわれています。それぞれの有機化合物は様々な化学反応をおこします。高校化学でも有機化学反応が取り上げられていますが、その仕組みについては触れられていません。有機化学の勉強は反応を暗記することになってしまいます。ここでは、有機化学反応の基本的なしくみ(反応機構)を理解するという立場で見てゆきたいと思います。

ある有機化合物が反応して構造が変化する場合、構成する原子がバラバラになって、組み立てなおされるわけではありません。化合物中のどこか1か所の結合が切れて、他の原子団と再結合するのです。これが何段階か続いて反応が完結します。ごく少数の物を除いて私たちが入手できる有機化合物は全ての最外殻電子(価電子)は対を作り、全てのオクテットを満たしています。その1つの結合が開裂した時の切り口は次の4つです。

1.対を作らない電子を持つ炭素ラジカル
2.1つの電子対を失って、空の軌道を持つ炭素陽イオン(カルボカチオン)
3.炭素原子上に電子対が残された炭素陰イオン(カルバニオン)
4.炭素原子上に空軌道と孤立電子対の両方を持つカルベン

非常に単純化されますね。しかも、1と4を経由する反応は少数です。大部分の有機化学反応は2あるは3を経由するものです。

0 件のコメント:

コメントを投稿